遺産分割協議がまとまらない時の対処法|調停・審判とは
- サポートセンター 相続
- 4月14日
- 読了時間: 6分

相続が発生し、遺言書がない場合や遺言書の内容に不満がある場合など、相続人全員で遺産の分け方を話し合う遺産分割協議が行われます。しかし、相続人間で意見が対立し、なかなか協議がまとまらないケースも少なくありません。
遺産分割協議が長期化すると、相続手続き全体が滞ってしまい、精神的な負担も大きくなります。
この記事では、遺産分割協議がまとまらない時の対処法として、家庭裁判所で行われる「調停」と「審判」という手続きについて、その流れや特徴、弁護士に相談するメリットなどを解説します。
1. 遺産分割協議がまとまらないよくある原因
遺産分割協議がスムーズに進まない背景には、様々な要因が考えられます。
財産の評価額に対する意見の相違: 不動産や美術品など、評価が難しい財産の価値について、相続人間で意見が対立することがあります。
特別受益や寄与分の主張: 特定の相続人が生前に被相続人から特別な利益を受けていた(特別受益)り、被相続人の財産の維持・増加に貢献した(寄与分)と主張する場合、他の相続人との間で意見が対立することがあります。
感情的な対立: 過去の家族関係や感情的なわだかまりが、遺産分割協議に影響を与えることがあります。
情報開示の不足: 一部の相続人が財産情報を開示しないなど、情報が共有されないことで不信感が生まれ、協議が進まないことがあります。
法的な知識の不足: 相続に関する法的な知識が不足しているために、適切な主張ができず、協議が難航することがあります。
2. 対処法1:家庭裁判所の調停(遺産分割調停)
遺産分割協議がまとまらない場合、まず検討されるのが家庭裁判所への「遺産分割調停」の申し立てです。
遺産分割調停とは
遺産分割調停は、相続人全員が家庭裁判所に集まり、調停委員という中立的な第三者の仲介のもとで、遺産分割について話し合う手続きです。調停委員は、各相続人の意見を聞きながら、公平な解決を目指してアドバイスや提案を行います。
調停の流れ
申し立て: 相続人の一人または複数名が、相手方の相続人を管轄する家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てを行います。
第1回期日: 裁判所から相続人全員に期日の通知が届き、指定された日時に家庭裁判所に出頭します。
調停期日の実施: 調停委員が各相続人から事情を聞き、必要に応じて資料などを提出します。調停委員は、相続人間の意見の調整や、解決案の提示などを行います。
合意成立: 相続人全員が合意に至れば、その内容が調停調書に記載され、調停が成立します。調停調書は、確定判決と同じ効力を持ちます。
調停不成立: 話し合いがまとまらず、合意に至らない場合は、調停は不成立となります。
調停のメリット
裁判官ではなく、調停委員が話し合いを仲介するため、比較的穏やかな雰囲気で話し合いが進められることが多いです。
裁判に比べて費用や時間がかからない傾向があります。
当事者同士の自主的な解決を目指すため、納得感のある解決につながる可能性があります。
3. 対処法2:家庭裁判所の審判(遺産分割審判)
遺産分割調停が不成立となった場合、または調停を経ずに最初から、家庭裁判所に「遺産分割審判」を申し立てることも可能です。
遺産分割審判とは
遺産分割審判は、相続人全員の合意が得られない場合に、家庭裁判所が遺産の分け方を決定する手続きです。裁判官が、提出された資料や証拠、相続人からの主張などを総合的に判断し、遺産分割の方法を決定します。
審判の流れ
申し立て: 相続人の一人または複数名が、相手方の相続人を管轄する家庭裁判所に遺産分割審判の申し立てを行います。
審理: 裁判所が、相続人双方から提出された書類や証拠に基づいて審理を行います。必要に応じて、当事者からの意見陳述や証人尋問などが行われることもあります。
審判: 裁判所が、遺産分割の方法について審判を下します。
確定: 審判の内容に不服がある場合は、不服申し立て(控訴・上告)を行うことができます。不服申し立て期間が過ぎると、審判が確定します。
審判のメリット・デメリット
メリット: 相続人間で合意が得られない場合でも、最終的に遺産の分け方が決定されます。
デメリット: 手続きが複雑で、時間と費用がかかる傾向があります。また、裁判所の判断に必ずしも全ての相続人が納得するとは限りません。
4. 弁護士に相談するメリット
遺産分割協議がまとまらない場合、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。弁護士に相談することで、以下のようなメリットがあります。
法的なアドバイス: 相続に関する法的な権利や義務について、専門的なアドバイスを受けることができます。
交渉の代理: 弁護士が相続人の代理人として、他の相続人との交渉を代行してくれます。感情的な対立を避け、冷静に話し合いを進めることができます。
調停・審判の手続きサポート: 調停や審判の申し立てに必要な書類作成や、裁判所とのやり取りなどをサポートしてくれます。
適切な主張の展開: 法的な知識に基づいて、有利な主張を展開することができます。
精神的な負担の軽減: 複雑な手続きや交渉を弁護士に任せることで、精神的な負担を軽減することができます。
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まとめ
遺産分割協議がまとまらない場合の対処法として、家庭裁判所の調停と審判という手続きがあります。調停は相続人間での話し合いを促す手続きであり、審判は裁判所が最終的な判断を下す手続きです。
弁護士に相談することで、法的なサポートを受けながら、より良い解決を目指すことができます。
【この記事のポイント】
遺産分割協議がまとまらない原因は様々。
遺産分割調停は、調停委員の仲介で話し合いによる解決を目指す手続き。
遺産分割審判は、裁判所が遺産の分け方を決定する手続き。
弁護士に相談することで、法的なアドバイスや交渉のサポートを受けられる。
状況に応じて、調停と審判を適切に選択することが重要。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のケースについては専門家にご相談ください。
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