相続人が複数いる場合の遺産分割はどうなる?揉めないための対策
- サポートセンター 相続
- 4月14日
- 読了時間: 6分

相続が発生した場合、相続人が一人とは限りません。兄弟姉妹や複数の子供たちが相続人となるケースは多く、そのような場合に問題となるのが「遺産分割」です。誰がどの財産をどのように受け継ぐのか、相続人全員で話し合って決める必要がありますが、意見が対立し、感情的なもつれから深刻な相続争いに発展してしまうことも少なくありません。
この記事では、相続人が複数いる場合の遺産分割の基本的なルールと、できるだけ揉めずに円満に解決するための対策について解説します。
1. 相続人が複数いる場合の遺産分割の基本
相続人が複数いる場合、遺産は原則として相続人全員の共有財産となります。そのため、それぞれの相続人が単独で遺産を処分することはできません。遺産をそれぞれの相続人のものとするためには、遺産分割協議を行い、誰がどの財産を取得するのかを具体的に決める必要があります。
2. 遺産分割の方法
遺産分割の方法には、主に以下の3つがあります。
現物分割: 不動産は長男、預貯金は長女、といったように、それぞれの財産を現物のまま相続人に分ける方法です。
換価分割: 不動産などを売却し、その売却代金を相続人で分け合う方法です。
代償分割: 特定の相続人が不動産などの主要な財産を相続する代わりに、他の相続人に対して相当額の金銭を支払う方法です。
どの方法を選ぶかは、相続財産の種類や相続人の状況、希望などを考慮して、相続人全員で話し合って決定します。
3. 遺言書がある場合
被相続人が有効な遺言書を作成している場合、原則として遺言書の内容に従って遺産分割が行われます。遺言書は、被相続人の最終的な意思を示すものであり、法定相続分よりも優先されると考えられています。
ただし、遺言書の内容が一部の相続人の遺留分(法律で保障された最低限の相続割合)を侵害している場合などは、遺留分侵害額請求といった問題が生じる可能性もあります。
4. 遺言書がない場合 ~遺産分割協議の重要性~
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの財産を相続するのかを決定します。遺産分割協議は、相続人全員の合意がなければ成立しません。
遺産分割協議の流れ
相続人全員の確定: まず、誰が相続人であるかを戸籍謄本などを取得して確定します。
相続財産の調査・評価: 故人の財産の種類や金額、不動産の評価額などを正確に調査します。
遺産分割協議: 相続人全員が集まり、それぞれの希望や状況を考慮しながら、遺産の分け方について話し合います。
遺産分割協議書の作成: 相続人全員の合意が得られたら、その内容を「遺産分割協議書」という書面にまとめます。相続人全員が署名・実印を押印することで、法的な効力を持つ書類となります。
5. 遺産分割で揉めやすいケースとその原因
遺産分割では、様々な理由から相続人間で意見の対立が生じ、揉めてしまうことがあります。主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
相続財産の評価の不公平感: 特に不動産の評価方法などで意見が対立しやすいです。
特別受益の主張: 特定の相続人が生前に被相続人から特別な利益(生前贈与など)を受けていたとして、他の相続人がその分を考慮するよう主張する場合。
寄与分の主張: 被相続人の財産の維持や増加に貢献した相続人が、その貢献度に応じた取り分を主張する場合。
感情的な対立: 過去の家族関係や感情的なわだかまりが、遺産分割協議に影響を与える場合。
一部の相続人の強硬な主張: 一部の相続人が自己の利益ばかりを主張し、話し合いが進まない場合。
6. 遺産分割で揉めないための対策
相続争いをできるだけ避けるためには、生前の対策と相続発生後の対策の両方が重要です。
6-1. 生前の対策(被相続人自身ができること)
遺言書の作成: 遺言書を作成し、誰にどの財産を相続させるかを具体的に指定しておくことが最も有効な対策です。遺言書は、公正証書遺言で作成しておくと、より確実性が高まります。
生前贈与: 生前に特定の相続人に財産を贈与しておくことも、相続時の争いを避ける方法の一つです。ただし、贈与税などの税金面を考慮する必要があります。
相続人とのコミュニケーション: 生前に相続人となる可能性のある家族と、自身の財産状況や希望する遺産分割について話し合っておくことも大切です。
6-2. 相続発生後の対策(相続人ができること)
冷静な話し合い: 感情的にならず、冷静に話し合いを進めることが重要です。
正確な情報共有: 相続財産に関する情報を隠したり、歪曲したりせず、相続人全員で正確な情報を共有しましょう。
専門家への早期相談: 遺産分割協議が難航しそうな場合は、早めに弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。専門家は、法的な知識に基づいて適切なアドバイスをしてくれます。
第三者の介入: 必要に応じて、家庭裁判所の調停手続きを利用することも有効です。調停委員が間に入り、中立的な立場で話し合いをサポートしてくれます。
遺産分割協議でお困りの際は、相続遺言執行センターへご相談ください
相続人が複数いる場合の遺産分割は、複雑で感情的な対立が生じやすい問題です。当センターでは、遺産分割協議の進め方や、協議書の作成、調停手続きのサポートなど、相続に関するあらゆるご相談に対応しております。東京・神奈川にお住まいの皆様で、遺産分割にお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
東京・神奈川で遺言書の作成・相続のお手続きをお考えの方は、
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まとめ
相続人が複数いる場合の遺産分割は、事前の対策と相続発生後の冷静な対応が重要です。遺言書の作成や生前贈与、そして相続人間での率直な話し合いを通じて、できるだけ円満な解決を目指しましょう。もし、遺産分割協議が難航するようでしたら、早めに専門家に相談することをおすすめします。
【この記事のポイント】
相続人が複数いる場合、遺産は原則として共有財産となり、遺産分割協議が必要となる。
遺産分割の方法には、現物分割、換価分割、代償分割がある。
遺言書がある場合は原則として遺言書の内容に従う。
遺言書がない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行う。
遺産分割で揉める原因を理解し、生前からの対策と相続発生後の適切な対応が重要。
遺産分割協議が難航する場合は、専門家への相談を検討する。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のケースについては専門家にご相談ください。
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