故人の財産を調査する方法とは?預貯金、不動産、有価証券など徹底解説
- サポートセンター 相続
- 4月15日
- 読了時間: 7分

相続手続きを進める上で、最初に重要なステップとなるのが「故人の財産調査」です。どのような財産がどれくらいあるのかを正確に把握することは、遺産分割協議や相続税申告の基礎となるため、非常に大切です。
しかし、「故人がどんな財産を持っていたか分からない…」「どこから調べればいいの?」と悩む方も少なくありません。この記事では、預貯金、不動産、有価証券といった代表的な財産を中心に、故人の財産を徹底的に調査する方法を分かりやすく解説します。
1. なぜ財産調査が必要なのか? ~相続手続きの根幹~
故人の財産調査は、以下の理由から非常に重要です。
相続人の確定: 遺産分割の対象となる財産を明確にするため。
遺産分割協議: 相続人全員が納得のいく遺産分割を行うための基礎情報となるため。
相続放棄・限定承認の判断: プラスの財産とマイナスの財産を比較し、相続方法を適切に選択するため。
相続税申告: 相続税の課税対象となる財産を把握し、正確な申告を行うため。
2. 財産調査の基本的な流れ
財産調査は、主に以下の流れで進めていきます。
手がかりとなるものを探す: 故人の自宅や遺品の中から、預貯金通帳、保険証書、不動産の権利書、証券会社の取引報告書などを探します。
金融機関等への照会: 手がかりをもとに、銀行、証券会社、保険会社などに故人の取引状況を照会します。
公的機関への確認: 不動産や自動車など、公的な登録が必要な財産については、関係機関に確認を行います。
財産目録の作成: 調査の結果をまとめ、財産の種類や金額などを一覧にした「財産目録」を作成します。
3. 代表的な財産の調査方法
ここからは、代表的な財産の種類ごとに、具体的な調査方法を解説します。
3-1. 預貯金の調査
預貯金は、相続財産の中でも比較的調査しやすいものです。
通帳・キャッシュカードの確認: 故人の自宅や遺品の中から、銀行、信用金庫、信用組合などの通帳やキャッシュカードを探します。複数の金融機関に口座を持っている可能性も考慮しましょう。
郵便物の確認: 金融機関からの取引明細書や残高通知書などが届いていないか確認します。
金融機関への問い合わせ: 通帳やキャッシュカードが見当たらない場合でも、故人が取引していた可能性のある金融機関に直接問い合わせてみましょう。故人の氏名、生年月日、死亡年月日などを伝え、口座の有無や残高について照会します。
インターネットバンキングの確認: 故人がインターネットバンキングを利用していた場合、パソコンやスマートフォンにログイン情報が残っている可能性があります。
3-2. 不動産の調査
不動産は、権利関係が複雑な場合もあるため、慎重な調査が必要です。
権利証(登記済証・登記識別情報)の確認: 故人の自宅に、不動産の権利証がないか探します。権利証には、不動産の所在地、地番、所有者などの情報が記載されています。
固定資産税の納税通知書の確認: 毎年送られてくる固定資産税の納税通知書には、不動産の所在地や評価額などが記載されています。
名寄帳の取得: 市区町村役場で「名寄帳(なよせちょう)」を取得すると、故人が所有していた市内の不動産の一覧を確認できます。
登記事項証明書の取得: 法務局で不動産の登記事項証明書を取得すると、現在の所有者や権利関係の詳細な情報を確認できます。インターネットからのオンライン請求も可能です。
3-3. 有価証券の調査
株式や投資信託などの有価証券は、証券会社との取引口座を通じて保有していることが一般的です。
証券会社の取引報告書等の確認: 故人の自宅に、証券会社からの取引報告書や残高報告書が届いていないか確認します。
証券会社への問い合わせ: 取引報告書が見当たらない場合でも、故人が取引していた可能性のある証券会社に直接問い合わせてみましょう。故人の氏名、生年月日、死亡年月日などを伝え、口座の有無や残高について照会します。
株券などの現物の確認: 昔に購入した株券などが、自宅に保管されている可能性もあります。
3-4. 保険の調査
生命保険や損害保険なども、相続財産となる場合があります。
保険証券の確認: 故人の自宅に、生命保険や損害保険の保険証券がないか探します。
保険会社からの通知の確認: 保険料の払込通知書や満期のお知らせなどが届いていないか確認します。
保険会社への問い合わせ: 保険証券が見当たらない場合でも、故人が加入していた可能性のある保険会社に直接問い合わせてみましょう。故人の氏名、生年月日、死亡年月日などを伝え、契約の有無や保険金額について照会します。
3-5. 自動車の調査
自動車も相続財産となります。
車検証の確認: 故人が所有していた自動車の車検証を探します。所有者の情報や登録番号などが記載されています。
自動車保険証券の確認: 自動車保険の保険証券も確認しておきましょう。
3-6. その他の財産の調査
上記以外にも、以下のような財産が相続財産となる可能性があります。
貴金属、骨董品、美術品: 鑑定書や購入時の領収書などが残っていないか確認します。
ゴルフ会員権、リゾート会員権: 会員権証書などを確認します。
著作権、特許権などの知的財産権: 関連する契約書などを確認します。
仮想通貨(暗号資産): 取引所の口座情報などを確認します。
デジタル遺品: パソコンやスマートフォン内のデータ、インターネット上のアカウントなども調査が必要となる場合があります。
3-7. 借金・負債の調査も忘れずに
プラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も相続の対象となります。
借用証書、契約書の確認: 故人の自宅に、借用証書やローン契約書、クレジットカードの明細書などがないか探します。
金融機関や消費者金融への問い合わせ: 借金がある可能性のある金融機関や消費者金融に問い合わせてみましょう。
信用情報機関への照会: 故人の信用情報を確認することで、借金の状況を把握できる場合があります。
4. 財産調査を行う上での注意点
根気強く探す: 財産は一箇所にまとまっているとは限りません。様々な場所を根気強く探しましょう。
プライバシーに配慮する: 故人のプライバシーに配慮しながら調査を進めましょう。
専門家への相談も検討する: 財産調査が困難な場合や、法的な手続きが必要な場合は、弁護士や司法書士、行政書士などの専門家に相談することをおすすめします。
調査が難しいと感じたら行政書士にご相談を
故人の財産調査は、時間と手間がかかる作業であり、特に初めての方にとっては負担が大きいものです。当事務所では、相続財産の調査に関するご相談や、調査の代行も承っております。東京・神奈川にお住まいの皆様で、財産調査にお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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まとめ
故人の財産調査は、相続手続きの重要な第一歩です。預貯金、不動産、有価証券、保険など、様々な種類の財産について、手がかりを探し、関係機関に問い合わせるなど、丁寧な調査を心がけましょう。もし調査が難しいと感じたら、専門家のサポートを検討することも有効な手段です。
【この記事のポイント】
故人の財産調査は、遺産分割協議や相続税申告の基礎となる重要な手続き。
預貯金、不動産、有価証券、保険など、様々な種類の財産を調査する必要がある。
手がかりとなる書類を探したり、金融機関や公的機関に問い合わせたりする。
借金やローンなどのマイナスの財産も調査の対象となる。
財産調査が難しい場合は、専門家への相談も検討する。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別のケースについては専門家にご相談ください。
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